こんな褒め方していませんか?

小野寺玲

 

問題です。

10代の子供たち数百人を2つのグループに分け、全員にやや難しい試験を受けてもらいました。そして試験後に子供一人ひとりを褒めました。一方のグループは能力を褒めました。「よくできたね。頭がいいね」。もう一方のグループは努力を褒めました。「よくできたね。頑張ったね」。その後、難しい試験、簡単な試験などいくつかの試験を追加で受けてもらいました。

最初の試験では両グループの成績に差はありませんでした。しかし褒めた後に受けた試験から差が出始めました。良い成績だったのはどちらのグループでしょうか?

 

 

 

 

 

正解は、努力を褒めたグループです。一方で、能力を褒めたグループは成績が下がりました。特に難しい問題の成績が大きく下がりました。なぜでしょう? そしてこの結果は、学力という狭い範囲でのみ起きる現象なのでしょうか? 違います。これは、人が持つ「能力観」についての現象だからです。

 

能力を褒める(結果を生まれつきの特性のように語る)と、難しいことに積極的に挑み、それを楽しむことができなくなります。問題が解けないことに対して「自分は生まれつき能力や才能がないのではないか?」と思ってしまうからです。それは子供にとって大きな恐怖です。

なので、先程のグループでも能力を褒めた子供は、取り組む問題を選ばせると簡単な問題を選ぶようになりました。難しい問題を楽しくないと感じるようになり、点数を自己申告制にすると4割近くが点数を高く偽るようになりました。

一方で努力を褒めた子供は、難しい問題に積極的に挑み、楽しみ、努力をするようになりました。失敗から学ぶようになり、挫折に強くなりました。もちろん成績も上がります。

 

能力観は、人生全体に影響します。勉強でも、音楽でも、スポーツでもそうです。生き方そのものに影響するのです。

「頭がいい」、「才能がある」、「天才」、こういった言葉を頻繁に口にしているなら、要注意です。例えそれが褒め言葉であったとしてもです。